タバコと胃酸逆流の関係について。

タバコと胃酸逆流の関係について。

20代の頃、私はタバコを吸っていました。1日10本くらい。当時の日本は喫煙に関してかなり寛容で、町中のあちこちに灰皿がありましたし、カフェや喫茶店も基本的に全席喫煙可能だったように思います。私も、隙あらばタバコに火を点けて一服する人間でした。

ただ、ある時期から胸の痛みに悩まされるようになったのです。みぞおちから胸の真ん中あたりにかけて毎日のように痛みを覚えていました。そして、どうやらタバコを吸った後に痛みが強くなっているらしいことが分かりました。

胸の痛みの原因は?

当時は、今のように体調不良の症状があっても、スマホで調べるという習慣はありません。ただ、タバコを吸うと胸が痛む。当時なんの知識もなかった私は「これはガンではないだろうか」と心配になり、俺の人生どうやってしまうんだと落ち込んで近所の内科を受診したのです。

内科の先生は「まあお若いのでガンじゃないと思いますし気にしなくていいと思いますけど心配だったら一応検査します?」くらいの感じでCT撮影をして、結果は異常なし。最後に「タバコを吸って胸が痛くなるのであれば、タバコをやめたらいいと思いますよ」と、これ以上ないほど当然のアドバイスをくれました。そしてタバコを吸うのをやめたら胸の痛みも収まったのでした。

タバコと逆流性食道炎

すでにお察しの通り、今考えるとこれは典型的な逆流性食道炎の症状なのですが、当時の私はそんなことは知る由もありませんでした。

喫煙は、LESを弛緩させ、逆流を誘発することが知られており、喫煙者では、禁煙することで、逆流症状が減少することが示されている 「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021」より

LESとは「下部食道括約筋」のこと。胃と食道の間にあるLESは逆流を防止する「弁」の役割を果たしていますが、タバコを吸うとこの弁が緩んでしまい、胃酸が逆流してしまうということです。

ちなみにハーバード大学医学部の医療情報サイトによると、LESを弛緩させるのはタバコに含まれるニコチン。

Smoking irritates the digestive tract, and nicotine relaxes the LES. (喫煙は消化管を刺激し、ニコチンはLESを弛緩させる) Harvard Health Publishing "Causes of gastroesophageal reflux"より

ニコチンといえば依存性が強く、体に悪影響があることで知られていますが、逆流性食道炎にまでその「悪の触手」を伸ばしていたのには驚きです。ニコチンには本当に悪いイメージしかありません。

この他にも、喫煙と逆流性食道炎の関係を示す情報は数え切れないほどあり、胃酸の逆流を防止するために禁煙は重要なファクターであると言えそうです。

加熱式タバコ・電子タバコは?

私が禁煙してからもう20年以上がたって、現在では加熱式タバコや電子タバコが普及しています。これらの「新型タバコ」の健康への悪影響は数多く指摘されていますが、胃酸逆流への影響が気になるところです。

正直、これらの新型タバコと逆流性食道炎の関連については、まだ情報が少なくて確たることは言えないというのが正直なところです。ただ、少なくとも加熱式タバコがニコチンを含むということは、やはり胃酸逆流が発生する可能性があると言えそうです。

私が新型タバコを吸ったことがないため説得力のあることが言えないのですが、いずれにせよ健康への悪影響を考えると、2つとも吸わないに越したことはないと言えそうではあります。

まとめ

20代の頃に経験した胸の痛みが、今思えば逆流性食道炎の症状だったという話をしました。喫煙はLESを弛緩させ胃酸の逆流を誘発することが指摘されており、禁煙によって症状が改善するケースも報告されています。ハーバード大学医学部の医療情報サイトによると、その原因物質はタバコに含まれるニコチンとされています。加熱式タバコや電子タバコについては現時点で情報が少なく断言はできませんが、ニコチンを含む加熱式タバコについては同様のリスクが考えられます。

この記事の内容は参考情報としてお読みください。免責事項をお読みの上、症状や治療については、必ず医師にご相談ください。